2008年07月09日
就業規則シリーズ③~こんな落とし穴が!第2話 雛形就業規則の落とし穴!
就業規則の雛形が多く出回っています。 どのような規定をどのような表現で作成していいのか分からない経営者が多くいらっしゃいます。 そんなとき雛形はとても便利な代物でしょう。しかし、そこには想像もしていないリスクが潜んでいることを知っておくべきです。
その理由としては、
【1つ目は】
それぞれの規定が義務規定なのか努力規定なのかを見極める必要があるからです。
法律の条文には義務規定と努力規定があります。「~しなければならない」ものなのか、あるいは「~するよう努めなければならない」ものなのか。具体的に示すと、「使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければならない」(労働基準法第20条第1項前段)というように「~しなければならない」という表現は義務規定です。必ず守らなければなりません。重要な事柄なので、労使間での決めごと(契約)であっても法律に従った内容でなければ許さないというものです。
ところがその反対に、「事業主は、その雇用する労働者のうち、その三歳から小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に関して育児休業の制度又は勤務時間の短縮等の措置に準じて、必要な措置を講ずるよう、努めなければならない」(育児介護休業法第24条第1項)というように「~するよう努めなければならない」は努力規定になります。
努力するだけで足りますよ、国による強制まではしませんよ、というものです。
国としては、企業の努力の結果導入が進めば、のちのち義務化しようというものです。今は努力してくださいね、というものです。
努力規定を就業規則に規定するということは、制度を先取りして最も前向きな取り組みで、労働者の育児と仕事の両立のために出来るだけ早く取り組む姿勢は評価すべきことです。しかし、中小企業は大企業と比較してみると、義務化されるまでは余裕がないということもあるでしょう。無理はしたくないというのも本音では。
義務なのか努力なのかを見極めて、会社の実力に合った規定作りが肝要です。
(育児介護休業法は、育児や介護と仕事の両立のための制度についての手続等を詳細に定めた法律です。法改正を重ねてきたこともあり、企業にとって法に沿った規定を維持することは難しく、特に義務規定なのか努力規定なのか混乱をまねく感があります)
【2つ目は】
会社の裁量に委ねられている規定かどうかを見極める必要があります。
つまり、その規定がなくても法的に問題がないものがあります。又あったとしても内容について労働基準法に拘束されないものがあるということです。皆様は意外に思われるかも 知れませんが、あなどっては大変なことになります。
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事例1 「え?そんなに長くていいの?」
会社が同業他社の大企業のものを雛形として就業規則を作成し、会社にとっては負担が重すぎる結果となった事例
<就業規則規定例>
第○条(休職の種類)
会社は、社員が次の各号に該当したときは、休職を命ずる
(1)業務外の傷病により、欠勤が引き続き6ヵ月を超えたとき
(2)自己都合による欠勤が3ヶ月を超えたとき
第○条(休職期間)
前条の休職期間は次のとおり与える
(1)前条第1号の場合 2年間
(2)前条第2号の場合 1年間
第○条(休職したときの賃金)
社員が業務外の傷病により休職したときは、その休職期間のうち6ヵ月間については基本給の6割を支給します。
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休職制度とは、病気療養などで比較的長期間労務に就くことができなくなった場合でも、一定期間まで、従業員としての身分を維持しながら就労を免除する制度です。
実はこの休職制度は法律に定めがあるものではありません。あってもなくてもいいものなのです。定めるか定めないかは会社の自由です。
しかしながら、今まで会社のために働いてきてくれた社員が少なくとも不意の傷病で就労できなくなった場合、しばらく猶予を与える方が「いざというとき安心して休める」こととなり、社員に安心感を与えるメリットがあると言えます。しかし、雛形の就業規則を見て「世間はそんなものなんだろう」と思い込み、そのまま制定したときには、多大なリスクを抱える可能性があります。
大企業のように「欠勤6ヵ月で休職に入り、1年~2年間の休職期間を与える」というのは、代替要員のいないことが考えられる中小企業には不向きではないでしょうか。
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